フタヤ トモコ   FUTAYA Tomoko
  二谷 智子
   所属   経済学部 経済学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2023/03/30
形態種別 大学・研究所等紀要
標題 19世紀後半における加賀藩領のコレラ流行と地域社会
執筆形態 単著
掲載誌名 経済学研究(愛知学院大学論叢)
掲載区分国内
出版社・発行元 愛知学院大学経済学会
巻・号・頁 10(2),77-94頁
総ページ数 198
概要 加賀藩新川郡魚津町の医者であった阿波加脩造が,1858(安政5)年コレラ流行に際して行った施薬の様子を通じて,藩政期の救恤の一端を明らかにした。明治維新後の阿波加脩造は,医者として活躍する傍ら,地域初の副戸長や初代小学校校長を任命され,地方行政や教育にも関わった。廃藩置県後,地方の行政区画や仕組みは旧藩時代とは大きく変わったが,1878年の三新法施行は,公選戸長の選出を認めるなど一定の自治を認めた反面,地方の財政的負担が増えるなど,地域社会は一つの転機を迎えた。1880年1月に魚津町三十ケ町連合会が開催され,その議長を阿波加が務めた。旧藩時代から受け継がれた民政や救恤など地域社会に息づいた「公益民福」の原理を継承しつつ,それを明治の地方行政制度に対応させるべく,改良した仕組みを作るに際して,儒学の素養があり人望を集めた阿波加脩造のような人物は,近世・近代移行期の地域社会に必要とされて,一定の役割を果たしたのである。